GyaOはまだまだこれから
usersこんな記事を目にしたのでちょいと私見をば。
Sankei Web 経済 「ギャオ」モデル、軌道に乗らず USEN中間決算(04/21 20:38) http://www.sankei.co.jp/news/060421/kei103.htmしかし、台所事情は苦しい。視聴者を集めるために、プロ野球「千葉ロッテマリーンズ」の主催試合の動画配信を始めるなど、有力なコンテンツを増やしたことで調達費用は大幅に増加。自らスタジオを設けて独自ニュースやドラマ制作も手がけるなど自社制作比率を2割まで拡大した結果、制作費が重くのしかかっている。
Cookieを使ったPCごとの利用登録を「会員数」と呼び、あたかも利用登録数がユーザー数かのように見せるなどあまりやり方が美しいとは言えないGyaOですが、細かいとこはいろいろあれ方向性自体はそんなに悪くないと思います。収益性どうこうとかいうけど、開始1年であれだけコンテンツ揃えまくってたらそりゃ赤字になるのは当たり前で、そこをぐだぐだ言うのはナンセンス。毎年毎年黒字にするなんて発想ではYahoo! BBは作れませんよ。費やした費用に対してこれだけの“利用登録者数”とネームブランド身につけたことを考えれば、現状では十分でしょう。
コンテンツの内容を見ても独占配信のエウレカセブンも作品として当たったし、トランスフォーマートかクリーミィマミとかブライガーとか、ネットユーザーが好きそうなアニメ系をまずはきっちり抑えている。逆にプロダクションIG狙いでBLOOD+囲い込んだソニーグループはイマイチだったりして、こういうコンテンツの揃え方はかなりセンスあると思います。
あと気になるのがこの部分。
ギャオの広告単価はテレビの地上波放送の10分の1以下と安いうえ、テレビのように視聴率と連動しておらず、広告主から「効果が見えにくい」との声も出ている。
広告主からそういう声がある、というのは現実にあるとしても、テレビの視聴率ってそんなにすごいか? そもそも限られた世帯だけのデータだし、テレビ付けっぱなしにしていても視聴率になっちゃうし、録画した番組のカウントとか、録画してCM早送りしたらどうなんのよとか、あまりにデータとしてざっくばらんすぎる。すごいのはテレビを見ているユーザー数だけであって、仕組みとしてはあまり誉められたもんじゃないと思います。
で、圧倒的に数では負けるGyaOを含むネットサービスですが、そのかわり見た人のデータは最初の利用登録を使えば確実に把握できます。テレビだったら世帯ごとだから、一体家族の誰が見ているのかもわからないけどネットならそれができる。とりあえず視聴率高いから出しとけCMもいいですが、たとえばアニメ好きにこそ出してメリットのあるCMと、そしてその効果がきちんと把握できるという点では広告システムとしてはるかに視聴率よりいいと思いますよ。しかも動画CMは早送りできない仕様であり、その時間に他のことしていても音は聞こえるわけだし。CMのたびに毎回CMを見えない・聞こえないようにする手間考えると、そりゃそのまま見ちゃったほうが早いよね。
利用登録者情報がウソだったらどうするとかいうつっこみはなしの方向で。ユーザがそこまでやるメリットもあまりないし、そもそもそういう誤差の数値はどんな調査だって入るわけだし。
「PCで動画なんかみないよ」なんてのも半分は正しいと思いますが、Windows XP MCEのメディアオンライン展開を見ていると、最終的な出口がテレビになるのは時間の問題。ネットはPCだけのものじゃなくて家電全般でもどんどん使われるべきだし、そのときにコンテンツ持っているのは大きいとおもうな。そのうちHDDレコーダとかと連携して、「GyaOに会員登録してたら一定期間HDD保存しておいてテレビで見られる」とかいうサービス出てきたらこれはキラーな気がしますよ。
ただ、今のGyaOにはすごくネットの良さが足りなくて、単にテレビをネットに持ってきましたみたいなのがもったいない。ネットなんてクチコミパワーが大きいので、配信の期間制限あるのは承知の上で番組ごとページ作ってブログとかでどんどんリンクしてもらうとか、アフィリエイトで動画リンクしてもらうとか、指定したキーワードが含まれる番組を通知してあげる機能用意するとか、はてなブックマークみたいな評価システムいれるとか、そういう努力するともっともっと伸びる素地はあるとおもう。
ネットレイティングスによれば、海外サイトなのにYouTubeは日本サイトと比べても相当のPVを誇っているそうです。
「YouTube」日本から212万人が訪問、平均利用時間は米ユーザーを上回る http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/13741.html
日本でプロモーションしているわけでもなく、一般のメディアでもほとんど扱われていないのにここまで使われているというのはやはりネットユーザーの力が強いわけで。もちろんネットユーザーだけの閉じられたコンテンツにしたくないという気持ちもわかりますが、今は使えるものはどんどん使っていったほうがいいと思いますし、せっかく無料で見られることがウリなので、そういうロングテールなメリットもどんどん使っていって欲しいと思いました。