PS3とWiiに見る「北風と太陽」戦略
users今日は朝から仕事でつかれまくりんぐなんですが、これを書かなければ1日は終われない気がする。
2006.9.14 Wii Preview - Wii
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/wii_preview/index.html
というわけで発売日は12月2日、値段は25,000円。さらに新しく「Wiiチャンネル」なる新機能のおまけつきですよ。
個人的予想は前にも書いたとおり、値段は19,800円で、発売日は11月2日かと思ってた。すみません大ハズレですねという大前提を踏まえつつ、前者に関しては19,800円で無難だと思ってたけど、Wiiチャンネル見たらすみません19,800円どころじゃないですねと大反省。あれなら25,000円でも十分いけると思いました。
発売日に関してはさらに反省すべきところ、任天堂は本当にWiiに自信を持っているんだなあと再認識。明らかに異質でPS3は競争相手ではない、と理屈ではわかりつつ、どこかPS3を意識してしまい、「やっぱりPS3より早く発売しといたほうがいいのかな」と思っちゃったけど、PS3より3週遅れても生産性を重視するというゆるぎない任天堂の自信が垣間見えました。
量産製造はすでに開始されており、実は発売を繰り上げることもできるそうだが、「数量が少なく迷惑をおかけしては問題だろう」ということで、「商戦期を逃さずしっかり出そう」と決定したのが12月2日という発売日。
岩田氏、宮本氏が語る「Wii」 ユーザー体験会を11月に名古屋、大阪、幕張で開催
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20060914/wii3.htm
すげえ、すげえよ任天堂。人事尽くして天命を待つとでもいうべきか、DSの成功に裏付けられた結果と言うべきか、とにかくすごすぎる。
で、今回のサプライズだった「Wiiチャンネル」。この構想もすばらしすぎる。すばらしいという言葉が陳腐にすら思える。すべては社長のプレゼンに映されていますので、以下のリンクから動画を見てみてください。
写真チャンネル
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/wii_preview/presentation/07.html
お天気チャンネル(上から2つ目が秀逸)
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/wii_preview/presentation/08.html
Modern Syntaxでも言及されている通り、これはまさに「Picasa」と「Google Maps/Earth」ですよ。しかもよほどの高スペックPCでなければここまで動かせないだろうというくらいスムースな動作。専用機よおそるべしというか、低スペックと言われるWiiでもこれだけのことができるんだという現実。ほんとVistaとかがどうでもよくなってくる。
Modern Syntax : 任天堂、新型ゲーム機「Wii」12月2日発売決定。価格は25,000円
http://www.aivy.co.jp/BLOG_TEST/nagasawa/a/archives/2006/09/wii12225000.html
そんなのPCでやればいいじゃんというのはギークな発想で、これがゲーム機かつリモコンでかんたんに操作できるWiiに積まれていることが何よりも大きい。今回のWiiのコンセプトは「ゲームでなくてもいいからとりあえずコントローラに触って欲しい」ということですから、よくPCがわからない親の層にとって、リモコンでかんたんに画像が表示できたり、天気予報が確認できるってすごく便利ですよ。
うちの親もそうなんだけど、旅行に行ってデジカメで写真は撮ってくるんだけど、保存の仕方とかを良くわかっていない。クレードルつないでボタン押してPCへ一発保存、までは教え込んだんだけど、結局PCで見ている様子はなし。というか画像をぜんぶデジカメに溜め込んでいて、見たいときはデジカメで見ているという塩梅ですよ。
WiiにはUSBもSDカードスロットもあるわけで、子供がつなぎ方を教えてあげればあとはリモコンでかんたんに操作。キーボードが多くてなんだか身近でないPCより、いつも使い慣れているテレビで画像を見られる安心度は、PCがわからない層には何よりの武器だと思います。
「もはやゲームではない」と言ったのはPS3ですが、いまいちブラックボックスが多くて「じゃあゲームじゃないのはどのあたり?」というのが見えにくい。対するWiiは「あくまでゲーム機」と言いながら、ゲームに巻き込むためにゲーム以外のものも積極的に取り込んだ。入口は違いながら、家庭内の中心になるポータル的存在という意味ではゴールは同じ場所にありそうです。
しかしゴールが同じでもアプローチが違えば効果はぜんぜん違うもの。ハンバーガーとハンバーク+パン&サラダでは、食べているものは同じでも印象も食べたさもぜんぜんちがう。ラーメン屋で言うと、中で待たされるよりお店の外で待たされたほうが満足度が高いという話がありますが、並び時間がまったく同じでも見せ方次第では効果が変わってくるのです。
ゲームじゃないことを看板に掲げて迫ってくるPS3に対し、実際にはゲームじゃないアプローチも含みつつ、「いかにユーザーに触ってもらえるか」を考えてきたWii。童話で言うならまさに「北風と太陽」状態。ゲームじゃないものを押し付けるのか、気づいてみたらゲームもゲームじゃないものも遊んでいるのか。DSで得た成功をきちんと学び、かといってDSと同じ戦略ではない、だけどDSがブレイクした要素をきちんと抑えてきた。任天堂が変わった変わったと思っていたけど、本当に本質的に何か生まれ変わったと感じた今回のイベントでした。
Wii(仮称) |