Yahoo!ポッドキャスト開始で思うPodcastのあり方
usersあの天下のYahoo! JAPANまでもがPodcasting参入ですよ! SNSといいブログ検索といい最近のYahoo!はいわゆるCGM系になかなか熱心ですなあ。
ブラウザ上で再生できるPodcastingポータル「Yahoo!ポッドキャスト」
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/13974.html
Podcastingって本当に盛り上がってんの? という疑問はあれども、こういう有名かつ大きなサービス事業者が参入するということは大きな影響がありますね。これでPodcastingが盛り上がるといいけど。
で、さっそくYahoo!ポッドキャストを使ってみたわけですが、その仕様はいろいろ考えさせられるところがありました。
Yahoo!ポッドキャストは、PodcastポータルでもありPodcastリーダーでもある。Yahoo!ポッドキャストに登録されたコンテンツをダウンロードするには、まずはYahoo! IDでサービスにログインしてから登録ボタンを押さなければいけません。そうすると自分の専用ページの中に番組が登録され、ブラウザベースでも聞ける、という仕様です。
フィード取得時には自動でYahoo!ポッドキャスト登録 |
もちろんPodcastという名前なのでiTunesに登録できますが、それにはファイルをダウンロードしたあとでそのファイルをiTunesにドラッグ&ドロップしなければいけない、と少々めんどい手続き。普通だったらiTunes登録用のボタンとか用意してあるんですけどね。そしてPodcastポータル先駆者であるPodcasting Juice謹製の「Podcast Juke」にはフィードを登録することもできませんでした。
この仕様を見る限り、本当はYahoo!の中だけでPodcastを完結させたいんだろうな、という気持ちが伝わってきます。だけど現状Podcastの主要クライアントであるiTunesを無視することはできないし、それできなかったらそもそも“Pod”castでもない。あのめんどくさい登録方法はその苦渋の選択の結果ではないかと。
逆にiTunesはというと、iTMSで配信されているPodcastは、少なくともiTMS専用の場合はそのフィードを他のクライアントで取ることはできません。Podcastクライアントとしての強大なシェアを持つiTunesだからこそできる仕組みですが、でもRSSなのにiTunes使ってないと取れないってなんか違和感を感じます。Feedpathがasahi.comのフィードを独占配信する、なんて話題が挙がった時に「Web 1.0」と揶揄する声がありましたが、iTunes使わないとフィード取らせないiTMSのビジネスモデルは、規模の大きさこそあれどやってること同じなんじゃないかなあ。
少し視点を変えてRSS認証のお話。今のRSS配信は、基本的に認証という概念がありません。RSSという仕組みを使って後付けで考えられた技術だからそれは仕方ないんだけど、今のところはベーシック認証という弱いIDとパスワードでなんとかするか、もしくは英数字の羅列で見破られにくいフィードを作るしかない。このあたりの問題点と妥協策はMyRSS管理人ブログに詳しいのでそちらをお読みください。
Google Calendar に見る RSS 認証の今後の方向性
http://blog.myrss.jp/archives/2006/04/google_calendar.html
だけどiTunesならそれができる。配信サービスとクライアントが一体化しているiTunesなら、iTMSでお金を払った人にだけフィードを登録してコンテンツを配信することが可能なわけです。でもそれはシェアの大きいサービス1つしか現実的にはできないビジネスモデルであって、業界全体にとっていいビジネスモデルではないように感じるんですよね。
フィードを登録しておくとコンテンツが自動で降りてくる、というPodcastiの仕組みそのものはすごく面白くて、別に動画や静止画に限らずOffice文書やPDFがダウンロードできてもいい。だけどそこにセキュリティやDRMがないとビジネスとして動かすのは難しくて、結局ブロガーのおもちゃやラジオ局のおまけで終わっちゃうのかなあと危惧しているのでありました。
ただ、iTunesの場合でもダウンロードしたファイルのDRMはまた別の問題としてあるので、iTunesならすぐビジネスに、というわけでもないんですけどね。いずれにせよ有利な立場にいるとは思います。