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ホームネットワークにみるWii、PS3、iTV、そして……。

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 朝起きて自分のブログ見たらアクセスの多さにびっくり仰天。何が理由かと思ったら、発熱地帯さんとこでリンクしてもらってました。

発熱地帯: 2006年は「テレビ2.0元年」
http://amanoudume.s41.xrea.com/2006/09/200620.html

 いつも読んでいるブログに取り上げてもらえるとなんだかこそばゆいですがありがとうございます。内容としてはWiiがいい悪いというよりも、テレビを中心に広がる新しい世界についてまとめた感じですが、そのまとめた内容自体がかなり興味深かったのと、自分が前から考えていた部分につながるところがあるので、正しい正しくないではなく、あくまで個人的に思った部分をまとめてみたいと思います。

 で、その前に前書き。今回のエントリーは長文が予想されます。こまめに段落分けするつもりではありますが、それでも長いと読みにくいのは間違いない。1つのエントリーが長くなりがちな私なので、1つ苦肉の策を考えてみました。

 それは何かというと、以前にもエントリーしたMovable Typeのキーボードショートカットです。

カイ氏伝: Movable Typeでキーボードショートカットを導入
http://blogging.from.tv/archives/000191.html

 エントリーごと移動する「J」「K」をカスタマイズし、1つのエントリー内で設定した見出しごとジャンプするように設定しました。具体的には、name="block-ほげほげをつけたaタグを、「H」で進み、「Y」で戻れるようになってます。ハードやサービスごと見出し立てていくので、ショートカット使えば多少は読みやすくなるかも。初の試みですのでうまくいくかどうか謎ですが、ご興味もっていただける方はお付き合いください。

 ではいよいよスタート。

Wiiはホームネットワークか否か

 これまでのエントリーからすると、手放しでWiiバンザイと言ってるようにも思われそうですが、私がほめちぎるのはWiiのゲームの部分に関してだけです。リモコンのコンセプトは前からわかっていたので今回の感動には含まれませんが、今回のWiiがよかったのは、前エントリにもあるとおり、とりあえずゲーム好きな人が買って家の中においておけば、多少は興味を持って使ってもらえそうな仕掛けをもりこんできたところ。その目的はゲームをしてもらうことがメインなので、評価しているのはゲーム機としてのWiiと、いかにゲームをしてもらうかというためのコンセプトの部分であります。

 で、何が言いたいかというと、Wiiはゲーム機であって、ホームネットワークやらSTBやらの役割を担うものではないだろう、ということです。

ずいぶん前に家族という構成単位は散会したし、テレビモニタはパーソナルなものになったじゃない。

[w]誰か任天堂Wiiの凄さを教えてくれ
http://webdog.be/archives/06916_025454.php

 ネット世代だけでなくすべての世代を含めてテレビモニタがパーソナル化しているかというと、そこまでではない気もしますが(液晶やプラズマのメインモデルもリビング用が主ですし)、実際にテレビのパーソナル化は進んでいることは事実。今やPCでも問題なくテレビが見られますしね。

 で、それに対してWiiというゲーム機は、1つのテレビに対してのみ性能を発揮する。家の中の複数のテレビをネットワークでつないで、という発想はありません。インターネット経由で伝言板すればいいかもしれないけれど、家庭内のネットワークという意味では違うと思うし。

 それがだめだというわけではなくて、Wiiはゲーム機なんだからそれで正しいと思います。だからこそ、ホームネットワークを狙っているPS3やiTVと比較する場合、テレビというインターフェイスを狙う「テレビ 2.0」としては同じ土俵だと思いますが、ホームネットワークでコンテンツ流通という「ホームネットワーク 2.0」(やべ2.0とか言っちゃったよ)でカテゴライズすると、また違った側面が見えてくるとも思ったのです。

Wii(仮称)
Wii(仮称)


ロケフリ連動で可能性が広がりそうなPS3

 改めてWii万歳任天堂信者と思われがちな当ブログですが、実はというのもおかしいですがPS3にも期待はしてます。ただ値段の高さで普及が難しいとか、BDってそんなにニーズなくね? という課題もさることながら、現時点ではPS3が何を狙っているのかが明らかにされていないので、あまり言及ができないというだけなのです。東京ゲームショウでは久夛良木さんが基調講演するので、そのあたりでコンセプトが明確に出てくると面白いですが。

 なので現時点ではすべてが妄想になっちゃうわけですが、PS3に期待するのはいまやソニーのヒット作として代名詞的存在ともなりつつある「ロケーションフリー」、しかも最新モデルで登場した「TVボックス」なのです。

TVボックス
http://www.ecat.sony.co.jp/visual/airboard/products/index.cfm?PD=25716&KM=LF-BOX1

 今までのロケフリは「外から見る」がコンセプトでしたが、意外と家の中で使われているという実績を踏まえて、今度は家の中の別のテレビで見る、というコンセプトを打ち出してきた。単に外出先はストリーミング環境がないから家で見るしかないんじゃね? と思ったりしないでもないですが、ことテレビに関してはこれでかんたんにホームネットワーク環境ができちゃうわけですよ。ソニーが一生懸命進めているDLNAがどうなっちゃうよというくらいの勢いです。DLNAもいい規格なんだけど、わかりやすさではロケフリが上を言ってるし、結局ホームネットワークで使われるコンテンツはテレビのような動画だったりしますからね。

 PS3はロケフリ対応するかどうかは謎ですが、というかそもそもテレビチューナー付いてないんでベースステーションにはならなそうですが、家庭内のロケフリと連動したホームネットワークという可能性はありそう。これはもはや期待に近いですが、PS3通せばロケフリの映像をPSPにダウンロードできるとかになれば、電車などの移動中でも安定して動画楽しめますよね。持ち出すときにPSP動画に1週間制限かけるとかDRMつければ不正コピーもないし、PSPのPortable TVなんかはそういうDRMも対応しているわけですし。

 PS3のゲームじゃない部分というのは、ロケフリかどうかは別としてそうした家庭内のネットワークを1つに結びつける部分ではないかと思います。Wiiも似ているように見えますが、Wiiが繋いでいるのは家庭内の外であって家の中ではない。家の中はWii1台をみんなで遊びましょう、というコンセプトです。そうした家電的アプローチでは、PS3は期待してもいいんじゃないかなと。ただ、それが7万に足るパフォーマンスかというと厳しいですが……。

プレイステーション 3(HDD 60GB)(仮称)
ソニー・コンピュータエンタテインメント


iTVはホームネットワークのキラーになりうるか

 アップルの発表会で、例のない予告がされたというiTV。要はiTunesのコンテンツをテレビに映し出すというシロモノですが、個人的にはこれって日本でうまくいくんかなあとちょっと懐疑的です。

 iTunes、iPodの組み合わせはもはや日本でも代名詞的存在ですが、それの使い道というのは「CDをリッピングして外で聞く」というスタイル。価格の安さやオプションアイテムの多さなどもあいまって定番化していますが、ではiTunes Music Storeという名前だったiTunes Storeでみんなが音楽買っているかというと、少なくともデジタルオーディオプレーヤーにおけるiPodのような存在感はないと思います。まだまだデジタルコンテンツを買う、という道は険しい。

 で、iTVというのはその名の通り、主にはテレビに対して動画を映し出すためのハードなわけですが(音楽も対応はしているけど、名前がTVなので)、その動画をどうやってiTunesに調達するのか。日本ではたぶん「動画をお金出して買う」という世界はまだまだ厳しそうであり、YouTubeなんかも見てわかるとおり、結局みんながみたいのは「テレビ」なんですよね。だけど家庭内のHDDレコーダで録画した動画をiTunesに持ってくる、となると結構敷居が高い。PCで録画している人ならいいけど、それは一般大衆的にはごく少数であって、普通の人はHDDレコーダでしょうね。

 MP3のような標準的フォーマットがあった音楽であればいいですが、動画の世界はフォーマットも多様。iTunesはMPEG-4が標準っぽいですが、PCマニアには動画はDivxだったり、HDDレコーダの人はVIDEO-TSそのままだったり、それを1つのiTunesでまとめ切れるのか。そもそもそうした家電から動画をどうやって取り込むのか。PCで録画する人なら、なにかソフトで対応できそうですが、家電で録画している人をiTunesに結びつけるのは、家電をやってないアップルには厳しそうにおもうわけです。

 もちろんテレビを無視して、YouTubeのコンテンツをあれしてこうしてダウンロードして、そのファイルをiTVで……なんてこともできないことはないですが、それはビジネスとしては美しくないし、ディズニーがらみでそういうことはできないでしょう。海外みたいにビデオポッドキャスティングでニュースを配信していればそれを映し出すという手もありですが、それだったら録画した番組をテレビで見たほうが便利そうだし。

 iTunesに溜め込んでる動画って、テレビで見るほどのストックあるのか、そして海外のように映画をiTunesでダウンロードしてテレビで見る、というスタイルが築けるのか、そのあたりは要注目です。個人的には動画よりむしろ音楽に期待したい。iTunesに溜め込んだ音楽を自宅のコンポで再生。そもそもiTunesサーバーみたいなのを使って、家庭内の音楽を全部まとめこむとか。


ホームネットワーク期待の星、東芝

 最後のTナビですが、ごめん松下、存在を忘れてた。存在を忘れてたは言いすぎですが、視野には入ってなかった……。

 テレビをネットに繋ぐという発想はやり方次第ではありだと思いますが、Tナビに関しては「ブラウザ載せました」「Tナビ用コンテンツ集めました」で終わってるんですよね。肝心のホームネットワーク連動という意味では、キモであるはずのHDDレコーダがぜんぜんネット対応しない。純粋にネット対応しているのは2機種だけで、後はオプションのレシーバつければ使えるという程度。それもできることは番組予約くらいです。

 対してHDDレコーダのネットワークという意味では、やはり東芝のRDが強いわけです。HDDレコーダに対してメーカーに対するコアなファンが付いているのって、東芝くらいしかないんですよね。

東芝のRD-Styleのへヴィユーザーというのはよく聞くが、松下のDIGAのそれというのはそう聞かない。だが、実際には存在する。

ITmedia +D LifeStyle:DIGAヘヴィユーザーの憂鬱 (1/4)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0609/11/news006.html

 なぜもそんなにコアに人気があるかというと、一番の理由はネット機能。PCから本体操作できる機能、PCから録画予約できる機能(松下と違って無料ね)に加えて、最大のポイントはやぱり「ネットdeダビング」でしょう。公式には「家庭内ネットワークでつながったRDの間で番組をダビングできる」という機能ですが、実際にはフリーソフトつかってRDの番組をネットワーク経由でPCにMPEG-2で持っていけるわけです。

 RD-H2なんかはこの機能を活かした顕著な例で、DVDドライブ持ってないけどネットワークで他のRDにダビングしたり、PCにMPEG-2で持ってけたりする。ここまでネットワークに積極的なHDDレコーダはRDくらいのものではないでしょうか。

製品情報 / 機能情報 - HDDレコーダー RD-H1/H2 | 東芝 : HDD DVD
http://www3.toshiba.co.jp/hdd-dvd/products/hddrec/index.html

 で、RDばかりが注目されがちな東芝ですが、個人的には他のネットワークの取り組みにも個人的に注目している製品がごろごろあります。

 まず1つ目が東芝のテレビ「REGZA」。一部モデルではありますが、NASと接続することで録画した番組をNASに保存できます。ある意味ではテレビとHDDレコーダの合体ともいえますが、大事なのはテレビの外にあるNASに保存できるということ。NASはもちろんPCからもアクセスできますから、録画した番組を家庭内で気軽にアクセスできる。しかもDLNA対応ですからDLNA対応レコーダやテレビでもかんたんに連動できる。

 家庭内にいくつも録画できる機器があるより、保存場所を1つにまとめて集中管理し、その気になればHDD容量をいくらでも追加しつつ、家庭内のさまざまな機器から自由にアクセスできる。ホームネットワークの究極的な存在として注目すべき存在だと思います。ただ、値段が高すぎてそうそうは手を出せるシロモノではないんですが……。

REGZA
http://www.regza.jp/

 そしてもはや黒歴史となっている感すらありますが、コンテンツ配信の理想的な形として期待していたのが、「ひかり de DVD」であります。なつかしー。

ひかり de DVD(公式サイトはせつないことになってます……)
http://www.hikari-de-dvd.com/

 どういうサービスかというと、サービス対応レコーダと光ファイバを使い、DVD形式の動画をまるごとダウンロード。視聴期限のあるレンタル制度と、いつまでも見られる購入制度があって、購入の場合はDVDにも書き込める。CPRM使っているので著作権保護的にも安心だからコンテンツ事業者にも優しい。ネット配信だからもちろん在庫もいらないので、レンタル店みたいに「貸し出し中」もない。任天堂のWii Previewで「バーチャルコンソールでロングテール」なんて話がありましたが、これもその方向性狙えるいいサービスでした。

 トライアル終了してしまって今後の方向は見えないですが、個人的にはTEPCOひかりと組んだのがいたかったなーと思います。TEPCOひかりは東京中心でエリアも狭いし、FTTH事業者としての規模はそこまで大きくない。パワードコムを配信インフラに使っていた関係上しかたないんでしょうが、これがNTT東西だったらロケフリ並みに宣伝してくれたかも。ネットワークだって地域IP網があったわけですし、何より日本全体にテレビCMやら新聞広告やら打てる時点で効果は大きそうだったかなあと。

 あとはあまり気づかれていないRDのキーワード録画機能。実はさりげなく、全国のRDユーザーランキングや、自分の録画履歴からオススメを判断する機能、全国の録画データから自分に似た嗜好の番組を計算してくれる「おすすめサービス」なる機能があるわけです。ある意味でAmazonのおすすめやソーシャルブックマーク的要素を持っているHDDレコーダなのです。

 ここまでネット機能に積極的なのは東芝以外には見当たらない。ソニーはPSP連動やロケフリはあっても、基本的には自社製品が中心の連携だし、そのほかに至ってはネット連動がそもそも期待できない。でもテレビをネットワークで見たいというニーズは少なからずあるとおもうので、日本の家電メーカーはこのあたりがんばって欲しいなと期待しています。






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