「買ってはいけない」Xbox 360 コアシステム
usersWii旋風が吹き荒れた先週に続き、東京ゲームショウを控えた今週はXbox 360がイベント開催してきました。
マイクロソフト「Xbox 360メディアブリーフィング」開催
日本向けタイトルを拡充、年内に110タイトルをリリース
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20060920/ms.htm
といっても新しい発表が何かあったというわけではなく、海外ではXbox好調でっせという紹介と、日本でも新しいソフト出しますよと言う意気込みが示されたくらい。オプションではHD DVDプレーヤーが出てきたけど、ハードそのものとしては少し前に発表された「コアシステム」が改めて紹介された程度。ソフト2本が同梱されることを考えると、「Wiiより安い」らしいですよXboxは。
先日発表されたコア・システムに関しては、泉水氏が「どれくらいお得かというと、このパッケージに含まれる同梱物から計算すると、年末に発売される次世代ゲーム機で一番安い。実は『Wii』よりも安い価格設定になっている」とコメントする一幕も。
というわけで年末商戦はコアシステムで攻めていくみたいですが、一見安そうに見えるこのコアシステム、結構な罠が潜んでいます。
とりあえずはパッケージそのものの価格を比べて見ましょう。標準パッケージは39,795円、コアシステムは29,800円と、その差は9,995円とほぼ1万円違い。では内容を比べて見ましょう。
標準パッケージ | コアシステム |
本体 | 本体 |
ワイヤレスコントローラ | USBコントローラ |
HD AVケーブル | コンポジットAVケーブル |
20GB HDD | なし |
メディアリモコン | なし |
LANケーブル | なし |
家のテレビはHDじゃないし、コントローラも有線でいいや、という人であれば、1万円安いコアシステムでも十分かもしれません。しかしゲームを実際プレイするにはこれだけではたりない。コアシステムではHDDがつかないので、ゲームをセーブするためにはメモリーユニットが必要なのです。
メモリーユニットは3,360円で64MB。標準パッケージであればHDDにデータ保存できますから、ゲームを始めるための価格差はメモリーユニットを差し引き、6,635円しかないことになります。
つまり、6,635円の差額をプラスするだけで、メモリではなく20GBのHDDとメディアリモコンが手に入り、コントローラもワイヤレスに。ケーブルもHD AVケーブルですが、これ実はコンポジット端子もついているので両方の役目を兼ねていますから確実にオトクです。
逆にコアシステムを買ってあとからこういうものを付け足そうとした場合、20GBのHDDは9,975円なので、1発で標準パッケージと並んでしまいます。リモコンもメディアリモコンは市販されず、テレビ操作もできるでっかいユニバーサルメディアリモコンを3,150円で買うことに。もちろんコントローラでも操作できるはできますが、PS2や従来のXbox使ってわかるとおり、DVDなんか見る時は圧倒的にリモコン便利ですから。
次にコアシステムの発売記念パッケージ。こちらは「PGR3」「N3」というソフトがお値段据え置きで同梱されるんですが、実はこのソフト、同日に廉価版の「プラチナコレクション」としても発売されるのです。
マイクロソフト、「Xbox 360™ プラチナコレクション」を 11月から発売開始!
http://www.xbox.com/ja-JP/press/release/20060908-3.htm
プラチナコレクションは1タイトル2,940円。これが2つで5,880円。ソフト2本というとすごくオトクに思えますが、実売の価格でいうと1本分くらいのお値段なんですよね。
さて、改めてWiiと比較してみましょう。ゲームプレイに必須なメモリーユニットを購入し、発売記念パックのソフト2本分の値段を引いたコアシステムの実質お値段は、(29,800円+3,360円?5,880円=)27,280円。Wiiは25,000円ですのでわずかに上回っています。Wiiの場合標準で保存領域を512MB搭載していますし、SDカードに対応しているので手持ちのSDカードも使える。つまり25,000円でいきなりゲーム始められるわけです。見た目の価格差で言えば「Wiiより安い」かもしれないけど、現実的には「ハイデフ」「(HDDによるマーケットプレースやアーケードといった)Xbox Live」というXbox 360の看板を切り捨てたコアシステムですらWiiに実質価格で負けているわけです。
もちろんメモリー ユニットを購入したとしても、価格差を考えると標準パックよりも(6,635円+5,880円=)12,515円ぶん安いというのは事実。でも正直いって、それはXbox 360の魅力を半減させてしまうので、単にゲームをプレイしたいという割り切りがない限りはオススメしません。
Xbox否定派のように見えるかもしれませんが、実はXbox、ことXbox Liveの思想は非常にすばらしいと思ってます。最近ではWiiが「Wiiチャンネル」で注目を集めてしまったためにXbox Liveが薄れがちではありますが、前ハードのXbox Liveの頃からその仕組みはすごかった。
何がすばらしいかと言うと、オンラインであることがすごく当たり前に存在していること。たとえばPGRをオフラインでプレイしていても、バックエンドではXbox Liveにつながっていて、友達がオンになったら通知してくれる。もしくは友達が別のオンラインゲームをやっていたらそのゲームを教えてくれる。今まではオフライン、オンラインどちらか割り切ってプレイすることが主流だった中で、ハードごとオンラインをベースにした思想というのは実にすばらしかった。
360はそれがさらに進化していて、ボイスチャットが一切切れることなくプレイするゲームを交換できたり、友達のプレイ状況がXbox 360を立ち上げなくてもメッセンジャーやブログからも知ることができる。さらにHDDを使うことで、無料の体験版をダウンロードして遊ぶことも可能になっている。さすがPCのOSを作った会社だけのことはある、ネットとHDDの見事な活用をしているのです。
タイトルこそアメリカ人好みの強いものが多いXbox 360ですが、やっとブルードラゴンやロストオデッセイ、ロストプラネット、トライエースのRPGなど、日本人向けのソフトも出てくる。そうしたゲームを単にオフラインで楽しむだけでなく、オンラインのコミュニティやダウンロードの楽しさも含め、Xbox 360そのものを最大限に楽しんでもらうためには、ぜひとも標準パッケージをオススメする次第です。標準パッケージもお店によれば30,000円を切っているという話も聞きますし。