ソフトバンクウォーズ第2章:ブロードバンドの逆襲
usersソフトバンクが23日に発表した「予想外割」をはじめとした新料金プランが、さっそくネット上で大きな話題を呼んでいます。
ゴールドプランでの実際の負担額は,契約当初の数ヶ月は月額2880円で利用できるが,その後は月額が5000円前後となることが,同社広報への取材により明らかになった。契約から5カ月目以降は,ブラウザフォン・サービスの「Yahoo!ケータイ」などを利用しない場合で4905円,利用する場合は5220円が実際に支払う最小の月額料金となる。*付加サービスを後日解約することも可能で,その場合は月額2880円で利用できる。
【続報】ソフトバンク,音声定額プランの利用条件や詳細を公表:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061023/251575/
「予想外割」など、ソフトバンクが「0円」を連呼する今回の料金施策は、23日に同社代表執行役社長兼CEO 取締会議長の孫正義氏から発表された通り、確かに通話もメールも無料だ。だが、無料であるのはあくまで特定の条件のみで、携帯電話を普通に利用すれば0円で済まないのは前述の通りである。
ソフトバンクの「予想外割」は本当に安いのか(ケータイWatch)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/31660.html
詳細は上の記事を読んでいただくとして、少なくとも「2880円」で済むほど簡単な話ではないのは確か。2880円で無料なのはソフトバンク同士のSMSやMMSのみで、メールは別途パケット課金かつパケット単価もお高め。ソフトバンク間の通話は定額といえども、一番大事な21時から23時59分までの約4時間が別途有料課金で、通話料自体もかなり高い。無料通話も含まれていないから携帯電話ユーザーには使いづらそうだし、かといってやめようにもスーパーボーナスで27ヶ月縛りという恐ろしい事態に。
「大人のソフトバンク」を吹聴していたソフトバンクがこれだけなりふりかまわない料金プラン攻勢に出たのは、きっとMNPの影響でしょう。実際には、MNPの利用者はそれほど多くなさそうだという予測がいろいろなところで出ているのに、マスコミは過当ともいえるMNP報道っぷり。特に最初の数ヶ月は、ちょっとしたマイナスでもあることないこと書かれる危険性が高いので、3ヶ月限定で入ってくれた人は2880円でいい、という引きとめ策に出たのではないか、というのが当方の予想です。
ただ、今回書きたいのはソフトバンクの戦略どうこうが本題ではなく、この新料金プランに対するユーザーの反応だったり。
というのも、新料金プランが発表になった翌日には、マスコミ以外のサイトがいろいろと料金プランを検証していたからです。
ソフトバンクの新しい料金体系がお得どころかぼったくりな件(ブログちゃんねる)
http://blog.livedoor.jp/blog_ch/archives/50495016.html
検証 ソフトバンクは本当に安いのか (JPEG 画像, 611x640 px)
http://gazo03.chbox.jp/home/gazo03/data/gazo/wara/src/1161617746637.jpg
ソフトバンク・ゴールドプランの落とし穴by WILLCOM NEWS
http://e.willcomnews.com/
個人サイトが中心なだけに、情報が不正確だったり視点が揶揄中心だったり、すべてが公平といえるものではないにしろ、この早さと情報収集量はたいしたもの。ニュースメディアと個人メディアの立ち位置や違いについてはいろいろ考えるところあるんですが、それは今回の本題とずれるので割愛します。いずれどっかでまとめたいな。
ソフトバンクがYahoo! BBで通信業界にとびこんできたときも、モデム勝手に送りつけ事件、無料でモデム配っておいて実は単なる2ヶ月無料事件など、立ち上げ時には大きな悪評を振りまき、マスコミでもいろいろとたたかれました。しかしその頃と今回が違うのは、ブログやSNSのような個人メディアが大きく成長していることです。
一部の先進的なユーザーが料金プランを検証し、それがソーシャルブックマークやSNSなどを介して広がっていき、読むのが中心のIT好きな層にも広がっていく。携帯電話の料金プランなどは、得てして近くにいるIT好きや携帯好きの影響も大きいので、そうした層へのネガティブクチコミ効果は大きそうです。
さらに最近ではマスコミもネット動向に注目している。ネットのメディアは決してマスコミを超えるほどの影響力を持っているとは思わないけれど、少なくともネットの動きをマスコミが注視し、何かあれば報道につながるケースも多くなりました。ZAKZAKなんて2ちゃんねる当番いるんじゃないかという勢いでネット情報拾いまくっていますし。
皮肉にもこういうユーザーのクチコミメディアを育て上げたのは、ほかでもない孫社長率いるソフトバンクグループです。荒っぽいやり方だったとはいえ、低価格かつ強力な販促作戦でYahoo! BBを展開したからこそ日本のブロードバンドは大きく成長し、いくら使っても定額という常時接続性が、ブログやSNSというネットコミュニケーションの成長にも一役かったのは間違いないでしょう。
これまでソフトバンクは「面を取って深堀する」、つまり大量のユーザーを獲得し、その上で付加サービスなどの料金から利益を上げていくという手法を取っていた。けれどそれもユーザーをきちんと集められればの話。ただでさえMNPで脱出意向が強いというソフトバンクを抱えているというマイナス要素があることに加え、今までの強気なやり方に対してユーザーが物言う場所が生まれてしまったことで、ソフトバンクの戦略は今までどおりには行かないかもしれません。そうおもわせた今回の「予想外割」騒動でした。
ただ、ちゃんと考えるならば、言いことをすればきちんと評価されるのもクチコミメディアのいいところ。マスコミのよるバッシングの影響力が大きくても、きちんと評価してくれる人はしてくれて、それが草の根的に広まっていくという効果はあるでしょう。今回はあまりにも裏がありすぎる料金プランでしたが、Yahoo! BBでブロードバンドの成長に大きく貢献したソフトバンクだけに、今度はもっと本当の意味で世の中を変えるような革新的なサービスに期待したいと思います。