「デジタル・ワークスタイル」読了
users国内アルファブロガー育ての親である徳力大先生の著書「デジタル・ワークスタイル」読了しました。
デジタル・ワークスタイル―小さなことから革命を起こす仕事術 |
結論からいうといい本だと思います。すでにGmailだのRSSリーダーなどをガシガシつかっている人には新しい発見はないかもしれないけれど、そういう人はもちろんターゲットではなく、どちらかというと大企業の中で日々の業務に埋もれてしまっているような人たちが自分を変える一歩としての書籍としてとて、とてもよいとおもいました。
というわけで自分がいいなと思ったポイントを、またしてもいわゆるひとつの「徳力スタイル」でまとめてみますよ!
1.くりかえす
この本が通じて主張しているのは、「価値観を変えること」「そのためには自ら動かなければいけないこと」なんですが、それを単に序章で述べるだけでなく、細かいところでその主張がまんべんなく出てくる。これって物事を理解するのには重要なことです。
私は大学受験のとき小さな予備校に通ってたんですが、そこで学んだことの1つがこの「くりかえす」ことの重要さでした。そこは英語に重点を置いた予備校で、先生が自らテキストを作っていたんだけど、英語の授業で看板教師だった先生が特に重要視していたのが「くりかえす」こと。
具体的に言うと、同じテキストの章の中で、同じような問題が何度も何度も連続して出題されている。一見すると同じ問題ばかりで意味がないように思えるけど、実際にやってみると一度つまずいた問題がすぐに出題されることで、「ああさっきのはこうだったな」と理解する。そしてさらに同じ問題がでることで、その理解を確たるものにするという仕組みです。
この手法の弱点はとかく長くなりがちなことで、先生も「第1章に力入れすぎて後半フツウになっちゃった」と裏話をしていたけれど、確かにこの第1章はすごいためになったし、いまでもこの繰り返しの重要性というのは身にしみています。
この本も本当にツールの使い方やサービス紹介だけだったらもっとコンパクトになるんだろうけど、この本のコンセンプトはサービス紹介ではなくて、「いかに価値観を逆転するか」にあるわけですから、しつこいまでの繰り返し説明というのは非常にいいことだと思いました。
2.ひらたい
ひらたいというのは書き手の姿勢。まず冒頭では自分の過去を振り返り、「昔の自分はだめだった」と赤裸々に語った上で、具体的に自分が変わったさまを描写する。また、使う言葉も変にカタカナを多用せず、多少文章がながくなろうともわかりやすい平易な言葉をふんだんに使っている。
これまた繰り返しですが、価値観の逆転を主眼に置いた本であるなら、知識よりも感動や共感が大事になってくるので、こういう著者の姿勢というのは読み手に伝わると思います。大上段に「お前らの仕事間違ってんだよ。こうやれよ」と言われると反発を覚えるかもしれないけど、「自分もこんなだったけど生まれ変われたよ」というのは説得の方法として効果的。
3.主体が「ツール」ではなく「読み手」本人
すでに書いてきているところではありますが、この本は便利なツールを紹介するのは単なる手段であって、最終的な目標は「読み手本人が変わる」に置かれています。
ものすごい正直に言ってしまうと、この本に載っているツールやサービスはそれほど目新しいものではありません。割と無難というかベーシックというか、人によっては「こんなやりかたなら俺のほうがいい!」とか思う人がいるかもしれない。
でもそれでいいんだと思います。なぜならツールを紹介する本ではなくて、「自分自身で変えていく」貯めの本だから。この本を読んで「俺のやり方のほうがいい」と思えたら、そこでもう自分が主役になってるんですよね。バルフレアですバルフレア。←わからない人多数の表現
この本に載っているやり方が最良ではないかもしれないけれど、このやり方を見て新しい自分なりの方法を思いついたり、もしくはそういう方法を求めて自分から情報を集め始める。そのきっかけ作りになるのであれば、この本は十分その人にとって役に立ったのではないでしょうか。
とまあ、3つに分離しただけでそれぞれはあまり簡潔ではないエントリーですが自分が思ったところをつらつらと書いてみました。私の場合、大企業を離れてIT中心の企業に移ったというその経緯が自分と重なるところがあって、それゆえに共感しちゃう部分も多いです。大企業だとどうしても今までに確立されてきたノウハウが重要で、なかなか自分で仕事を変えていくというのも難しいですしね。
でも全体の仕事は変えられなくても、自分の仕事を効率化していくことというのは小さな努力と気持ちの切り替えで意外とできたりするもの。仕事の時間が減れば趣味の時間も増えるかもしれないし、効率が高まれば仕事そのものに魅力をもっと感じるかもしれない。「まずは自分自身が小さく行動すること」というのは非常に大事だとおもいますはい。