デジタルカメラ「S50c」の無線LAN通信機能を考える
usersブログマーケティングな話題ばかりで恐縮ですが、前回WA1で参加したPR BOARDでも、現在ニコンの無線LANデジカメ「S50c」のモニターを絶賛実施中であります。
NIKONさん主催のブロガー向け勉強会を開催します | 100SHIKI PR Board
http://www.prboard.jp/archives/2007/04/nikon.html
前回参加経験があるということに加えて、無線LANデジカメというコンセプトにはかなり興味を惹かれるので参加者のエントリーはRSSリーダーに登録し、生あたたかく見守っているのですが、そのなかに気になるエントリーがありました。
モニタ中のデジカメ「S50c」の最大の特徴は、無線LAN機能を搭載している点であることは、間違いありません。
今回は、この無線LAN機能の現状と問題点について、考えてみました。
かなり辛口の記事になっています。ご注意ください(笑)。
Kazuhiro's Weblog: デジタルカメラ「S50c」の無線LAN通信機能の問題点 - 弱みを強みへかえろ
http://kazuhiro.ty.land.to/blog/2007/05/s50clan.html
このエントリーに対し、はてな界で屈指の美少女と噂され、1人オフは結局何人集客できたが激しく気になるid:ululunがが真っ向から回答エントリー。
煩悩是道場 - S50cがDisられているようなので擁護してみる
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20070511/1178848505
基本姿勢は「Disられているようですので擁護」とのことなので元エントリーへ対する回答という感じになっておりますが、はたから興味深深で見ている私としましては、おっしゃることはそのとおりながら違う視点で見るといいとこあるかもよ、的エントリーを、ululunスタイルで買いてみたいと思います。
COOLPIX(クールピクス) S50c |
(1)写真をアップロードするために、アクセスポイントに移動しなければならない
外出先でほぼ使い物にならんとのことですが、どちらかというとこの製品のコンセプトは「家の中の無線LANで自動アップロード」なのかなと。そういう意味では家に帰って電源入れれば画像をアップロードしてくれる、という仕様は十分な気がします。
もちろん外で使えたらすごい楽しいですが、これはニコンの問題というより日本のインフラそのものの問題もありますよね。まずは公衆無線LANですが、こちらはエリアそのものが携帯電話に比べると圧倒的に少ないし、どこにあるかも探しにくい。id:ululunにはFON使ったら、という指摘がありましたが、FONを外で使うにはIDとパスワードがいるはずなので、たぶんS50cが対応しないとだめなんじゃないかなー。このあたりはモニターさんに試していただきたい。
かといって携帯電話はデータ通信の定額制やってないし、イー・モバイルは地域限られている。唯一全国区の定額サービスであるウィルコムは速度が遅すぎる。百歩譲って画像1枚なら100kbps程度でいいんじゃない、としても、時々外に出て写真撮ったのを数枚送りたいだけのために月に数千円も払えないかな。
むしろこのあたりを現状を踏まえた解として、国内でも大手のHOTSPOTとBBモバイルポイントを抑えたニコンはなかなかやるなーと思う。あと大きいところではフレッツ・スポットとMzoneがありますが、フレッツ・スポットはPPPoE接続な上にいまだにMACアドレスフィルタリングとかイキなことやってるので使いずらい。Mzoneは結構いいとこにあったりしますが、HOTSPOTとBBモバイルポイント以外のエリアでMzoneしかない場所、というのはごく少数かも。
あと、公式対応ではないですがFREESPOTは無料でつかえますが、これはお店ごと設定が違うのでちとめんどそう。個人的にオススメしたいのはlivedoor WirelessのMACアドレス認証ですね。これは月額料金こそ必要ですけど、ブラウザがない機器でもMACアドレスを登録しておけばlivedoor Wirelessが使えるというサービスです。
livedoor Wireless スタッフブログ:MACアドレスによる自動認証サービスのβテストを開始しました - livedoor Blog(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/ld_wireless/archives/50413731.html
東京都内に関してはかなりエリアを構築しているlivedoor Wirelessだけに、写真取ってすぐアップというのは結構便利に使える可能性も。livedoor Wirelessに加入してSSIDとWEPを設定し、会員サイトでS50cのMACアドレスを登録すれば使えると思うので、興味ある人はぜひお試しを。使えない可能性もありますけどね・・・・・・。
将来的に期待したい対応としては、ウィルコムが基本料金ゼロの定額プラン作ってくれるといいなあ。写真送ったときだけ課金して、トリプル定額くらいでコストを抑える。んでニコンはW-SIM対応デジカメを作る、と。定額料金が音声端末とコミにできたらさらに面白そうなんですが、ウィルコムも定額だの音のきれいさだの訴えるのもいいけどそのくらいはっちゃけたことやりませんか?
やべえ最初から長くなった・・・。
(2)ピクチャーバンクに写真をアップロードする必要があるか
SDカードに保存しとけばいいじゃんという話で、もちろん自分だけで楽しむならそれでいいと思うんですが、たぶんこの製品のキモは撮った写真を友達に簡単に配れる、というところじゃないかなと。そうすると自動でアップしてメールで送れる、というのは便利な気がします。
結婚式に出席して酔っ払ってるのにがんばってアップしたりとか大変ですが(←自分)、これなら電源入れたらあとは寝るだけで、起きたらメールで教えてあげればいいし、突然「あの写真欲しい」といわれた時にも「いやー家にあるんだよねー」といいつつ仕事で遅くなって家帰ったらつい寝てしまって送るの遅くなったり(←自分)。とりあえず2GB無料なんだし、電源入れたらプライベート空間に自動アップロードというのは、私の使い方としてはありがそうな気がしますよ。
(3)PCを使わずにアップロードした写真の閲覧には、PCが必要である
これも(2)に通じますが、自分の手持ちのデジカメならSDにいれておけるけど、友達に見せるのにSD送るわけにはいかんし、ってところじゃないですかね。モバイル対応とかもしてくれると理想っぽいけど、写真を友達に手軽に送る、という手段としてPCは一番現実的な対応かと。
むしろデジカメあるんだからデジカメで見ればいいじゃん、って人は、こっちのデジカメのほうが向いてるかもしれませんね。
SONY Cyber-shot | DSC-G1
http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-G1/index.html
ニコンと同様無線LANを搭載したカメラですが、そのアプローチは正反対。ニコンはWebへアップするための手段なのに対し、ソニーは家庭内のネットワークを使ってテレビで見たり、同じデジカメ同士ならポケモン感覚で写真送れる、という発想です。
こちらは2GBのメモリ内蔵していて、撮影した画像を自動でアルバムにしてデジカメの液晶で楽しんじゃおうという使い方。その見せ方の1つとしてネットワークがあるというかんじですかね。リアルで会ったときにしかデジカメ画像なんて見せないよね、なんて人はこれがいいのかも。
(4)写真をアップロードするモチベーションが少ない
むしろモチベーションがある人は自分でせっせとやると思うので、モチベーションがあまりない人でも「まあ自動でできますから」っていうメリットがあるかもしれません。もちろん無線LAN設定は初心者には大変なので、そこはAOSSやららくらく無線スタートあたり対応してほしかったなという気がしますが、無線LAN設定さえクリアすれば標準で2GBものサービスを用意しているというのは結構手厚い対応だと思います。無料で比べると、50MBのlivedoor PICS、30MBのOCNフォトフレンド、1,000枚(So-net会員なら2,000枚)So-net Photoあたりと比べても破格の容量です。国内でまともに容量でかなうのは1万枚でファイル制限なしのフォト蔵くらいじゃなかろうか。GoogleのPicasaですら1GBですからね。
こういうサービスを何も考えずに標準で使えるというのは、初心者層であれば便利そう。Flickr使うからイラネ、という人がいるかもしれませんが、初心者に対して無線LAN設定させた上にまた別のサービスのユーザー登録してね、ってのは敷居がさらに高まりますから、標準でそれなりに使えるサービスがあるってのはいいですね。
一方でFlickr使いたいって人に対しては、もう開放しちゃっていいんじゃないかという気もする。ニコンにとってビジネスモデルはデジカメの売上であってサービス運営ではないので、初心者サポートの面から専用サーバーは運営しつつ、Flickrなど他のサービスにも対応すればそっちのユーザーも取り込める。初心者と比べて圧倒的にデータ食いそうな上級者には専用サーバーから出て行ってもらえるという点でメリットもありそうですよ。
(5)ピクチャーメールは、メールをもらう側も努力が必要
これはid:ululunが「特にいらなかった」と書いているので要検証ってとこですか。個人的にはIDとパスワードは、メールで同時に通知してくれれば設定されていても、というかむしろ設定されていてもいいかも。URLのみで見られるというのは簡単でいいけど、中にはインターネットに全公開したと勘違いした人も出てくるので(実話)。IDとパスがかかってると、「ああヒミツの写真なのね」と暗に理解してもらえるメリットがありそう。もちろん、IDとパスを別に通知しなきゃいけないという仕様だったとしたら最悪ですが。
というわけで以上、元エントリーに私なりの観点で答えてみました。モニターでもないのに余計に絡んじゃって申し訳ない気もしますが、自分がWA1で参加していたときには、Start Mac当選のところでも書きましたが「ブログ間の横のつながり」なんですよね。リアル会議で話すのもいいけど、ブログで議論しあって読者も巻き込んで話題を大きくしていく、なんてのもブログの魅力な気がしますので、少しでもそういうお役に立てれば幸いです。