Touch! Generationsの憂鬱
users蒼炎の軌跡の仮想ライバルでありますやまなしさんとこでこんなエントリーが上がっていたので過敏に反応してみる。
現状を的確に表現するのなら―――
「“Touch!Generations”のソフトは続編が売れない」
だと思うんですよ。『Wii Sports』は未だに売れ続けていますし、『もじぴったん』なんかもそこそこ売れていましたしね。
やまなしなひび?Diary SIDE? “Touch!Generations”の不調?
http://yamanashirei.blog86.fc2.com/blog-entry-219.html
いやさ実にその通りだと思います。「もっと えいご漬け」や「Wi-Fi対応 アソビ大全」なんかが思ったほど売れなかったことでTouch! Generations略してタチジェネそのものが否定されつつある空気がありますが、実際には続編がうまくいってないだけで、タチジェネならではの新作が出ていない現状ではタチジェネそのものを否定する要素ではないという点ではげしく同意。
ただ、1つ要素を付け加えさせてもらうなら、前に「もっと えいご漬け」のレビューで書いたとおり、「タイトルの手抜き」も大きな理由の1つだと思います。
脳トレ」が「もっと」で売れたからこっちも「もっと」で、ってのがそもそも安直過ぎたかなと個人的には思いますね。えいご漬けですら壁に感じた人は「もっと」がつくことでより手を出しにくくなる。脳トレの「もっと」は横方向(ジャンル)だけど、えいご漬けの「もっと」は縦方向(レベル)」に感じてしまう気がします。
カイ氏伝: えいご漬けより「もっと」楽しい「もっとえいご漬け」
http://blogging.from.tv/archives/000387.html
なんとなくタチジェネ批判論を繰り広げているブログだと、自分の見る限りで実際にその続編タイトルをプレイしてないんじゃないかな? という雰囲気が漂う気がする。もちろんゲームのデキのよしあしが売上につながるわけじゃないですし、いいソフトだから売れる、駄作だから売れないなんて話をするつもりはまったくなくて、単純に続編をプレイしてはいないんだろうな、ということ。
で、実際にえいご漬けに関してはプレイした私からすると、前作より明らかにいいデキなのは間違いないし、あくまで数人の感想ではありますが、「えいご漬け」を経験した人はほぼ「もっと」のほうがいいデキだという感想を漏らしている。実際にプレイさえすれば、前作をやった人でもハマらせる要素自体は持っていると思います。
で、結局結論としては同じ方向になるんですが、やっぱり「過去の成功体験」にあぐらをかいちゃったんでしょうね。「えいご漬けが売れた」「もっと 脳を鍛える?が売れた」「もっと えいご漬けでいいか」みたいな。プロモーションも松嶋菜々子に使わせるだけという、これまた以前の成功例。結果論で語るのはちょっと卑怯な部分もありますが、あえて厳しい言葉を使うなら、「きちんとソフトの魅力を引き出そうと考えたのかな?」と疑問に思ってしまいます。
おりしもXbox 360の洋ゲー問題が盛り上がっている中で、こんなエントリーがありました。
確かに、忍さんの仰るとおり「グランド・セフト・オート」は売れた。
しかし、このゲームが売れた最大の理由がなんだったのかを考えたとき、
ゲームの完成度でもローカライズの見事さでもなく、
国内メーカーの大手としてユーザーに広く認知されている
“カプコン”から発売されたからだと思っている。
雑記456:何故、洋ゲーは売れないのか。|逆転裁判合同ブログ1号店
http://ameblo.jp/gyakutenstore/entry-10032712850.html
この意見には自分も賛成で、やっぱりタイトルとかメーカーの名前ってすごく大事ですよ、ユーザーを引っ張ってくるのに。ブログのクリック数だって、タイトルが違えば大きく変わってくるわけですし。
あくまで「もっと えいご漬け」がそれほど売れなかった、という事実を踏まえての結果論ではありますが、このソフトに関してはタイトル変えるだけでもうちょい違ったのかなと思う。えいご漬けの場合、ソフトに飽きたというより「退屈でやめた」「難しすぎた」という感想が多く聞かれたので、だったら次のタイトルでは「楽しい」「やさしい(もしくは難しくてもやり応えがある)」っていう方向にもっていくべきだったかなと。
これは一例ですけど、たとえば「できる えいご漬け」とか、「たのしい えいご漬け」とか、「使える えいご漬け」とか、「あの娘ぼくがえいご漬けしたらどんな顔するだろう」とか。いや最後のは冗談ですが、「もっと」とつけてしまうと、ターゲットが前作をプレイした人に限られてしまう(初心者は「もっと」からは手を出しにくいでしょう)し、かといって経験者の挫折組は「えいご漬けでも難しかったのにもっとなのか……。」とためらってしまう。もちろん挫折をしなかったごく少数の人に向けたソフトならそれでもいいけど、聞こえてくる強気の初期出荷台数からすると、もっと土壌を広げたかったのでしょうしね。
もちろん名前は重要だけど名前だけではだめで、プロモーションも「えいご漬けより楽しいよ、かんたんだよ!」というのをきちんとアピール。極論を言えば、「セガは倒れたままなのか」くらいの勢いで、「えいご漬けって難しくてあきらめちゃったよー」「そんなあなたも今度は大丈夫!」くらいやっちゃってもよかったのかもしれない。
これが単なる焼き直し続編ならここまで思わないけど、「もっと えいご漬け」は前作の反省をきちんと生かした良作です。それゆえにタイトルやプロモーションがうまくいかず、本来このソフトを楽しんでもらえる層に届かないというのは、持ち主としては非常に寂しい。画竜点睛を欠く、という気がしてならないのです。
「えいご漬けのシステムそのものに飽きた」という人もいるでしょうから、前作以上のヒットは難しいかもしれない。けれど、オマケ要素の映画セリフ聞き取りや洋楽聞き取りみたいな楽しい部分をきちんとプロモーションすれば、前作にはいまいち興味を持たなかった人もターゲットにできたかもしれない。タチジェネ自体はすごくいいコンセプトで、私は一過性のものではないと信じているので、「シリーズで出しておけば売れる」というのではなく、「タチジェネブランドの1つ1つの個性をきちんと引き出して伸ばしていく」ような方向でがんばってほしいなと思います。
あ、あと「レイトン」がすごくいいデキだというのも同意するところで、続編以外にああいうコンセプトのゲームも大事だなと思います。レイトンに関しては、ゲームの楽しさはもちろん、それ以外の部分で非常に高い評価をしているのですが、あまり触れてなかったのでそれはまた機会を改めて。