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ケータイ小説 VS 2ちゃんねる小説

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 「新垣結衣のデビュー曲が下手すぎて泣けた」という印象しかなかったケータイ小説の映画化作品「恋空」ですが、このエントリー読んだら俄然興味出てきた。

 脳内会議 ? 『恋空』を読んだ
http://alittle.bitter.jp/blog/?p=76

 というわけで上のエントリーに紹介されているURLからさっそく読書開始。 せっかくだからきっちり最後まで読み尽くしてやる!!! という気概で読み進んだんですが。

 だめだよママン......。途中で力尽きたよ......。

 文章の稚拙さとかはそこまで気にならなかったんですが、いかんせんストーリーが安直すぎる。いや実際にはレイプだの流産だのいじめだのと普通には起きない刺激的なイベントが盛りだくさんなんですが、でもドラマとしてはそれが逆に安直なんですよね。彼氏ができて元カノが嫉妬するあたりから先の展開が読めすぎて、あとは単に文章を追っていく作業でしかなくなってやめてしまった。

 その一方で、mixvoxさんのところで知ったこのエピソードはもう釘付け。無我夢中になって読んでしまった。

近所の女子高生がギター教えてくれと訪ねてきた
http://ton4soku.blog84.fc2.com/blog-entry-446.html

 こちらはタイトルそのままで、ギター教えてと頼んできた近所の女子高生との間に芽生える恋物語が描かれているんですが、状況そのものは非常に地味ながらすごい萌える。まあ女子高生カナちゃんのキャラによるものも大きい気がしますが、読んでいるときの熱中度が明らかに違った。

 ケータイ小説のほうが文字数に制約もあるし一概には比べられないんですが、1つにはあまりにドラマ的な展開は実際に小説やドラマになるとありきたりすぎて陳腐化してしまうこと、そしてもう1つは明らかなる文章力の違いなんだろうなあと思った。

 恋空にどうしても入り込めなかった理由の1つは、やっぱり描写力の貧困さで、シーンの移り変わりとかが唐突すぎるのね。主人公が彼氏を気になった理由とかもないし、読んだ限りの後半では主人公が最高にいい人っぽく描かれているけど、おいまてお前同級生をいたずらで退学にしてんだろゴルァ、みたいな。キャラにもシナリオにも説得力がないと感じてしまう。

 それに対して上記のまとめサイトを含めた2ちゃんねる系のストーリーは、良作と呼ばれるものに関しては文章力はそれほどではないかもしれないけど、説得力も人間描写もきちんとしている。(あくまで良作の話で釣り系のやつは読んでてすぐわかるくらいショボいのもありますが)。それは2ちゃんねるという掲示板で展開されるだけに、ストーリーの気になる部分とかを読者がその場で反応して補完できるというメリットも大きくて、そこで描かれるからこそ一般人の書いたお話でもみんなの力を得てよい作品になっていくのかもしれない。

 ケータイ小説は恋空しか読んでないし、恋空も途中で挫折したからすべてをみたわけではないけれど、レベルとしては「中高生の頃にクラスの女の子が書いていた少女漫画」レベルかなあと思いつつ、一方できっとすぐに廃れるのかなーとも同時に思います。ケータイで手軽に読めるというのはやはり大きな魅力だし、ケータイ小説で小説読むようになったら、やっぱり文章的に優れた作品にも魅かれていくだろうし、そういう小説への入り口としてケータイ小説がある、という位置づけであればいいかな。

 個人的には「ガン黒」みたいなもんで、あれが流行した当時は「日本はどうなるんだ」という風潮だったけど、今はもうガン黒なんて絶滅人種に近くて、芸能人とかでも「昔はガン黒でした」なんて子が今は普通のオシャレしたりしている。

 ただそれはそれとして、やっぱり日本語の文章としては問題があるし、そこは「時代の流れだから」といって身を任せられない古い体質の自分がいる。「しゃべられる」が時代の流れとともに「しゃべれる」に言い換えられていくという例はあるとしても、文法や文の構成というルールが崩れてしまうのは別問題だと思う。日本人は生まれたときから当たり前のように使っているし、英語と比べて順番入れ替えても意味が通りやすいから気づきにくいですが、日本語だって英語のように文のルールはあるわけです。

 小説への入り口としてのケータイ小説という存在はありとしても、あれを小説とは理解できない自分は理解力のないオッサンなんだろうなあ、とおもいつつもそれが自分の正直な気持ちであります。

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お疲れ様です。tomです。 『恋空』をここで読んだ。 ※長いので特にオススメしません 切ナイ恋物語恋空前[魔法のiらんど] http://ip.tos... 続きを読む

コメント(1)

いつも楽しく拝見させていただいております。

TBさせていただきましたー。

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